はじめに ― なぜ “平均” を知る必要があるのか

ガス代は「使用量 (m³) × 従量単価」+ 基本料金で決まります。
つまり 自分の使用量が平均より多ければ、単価が適正でも請求額は高くなります。
逆に 平均より少なくても単価が割高ならやはり高額に見える――この2軸を理解することが節約・乗り換え判断のスタート地点です。
一人暮らしの平均ガス使用量と平均料金
1.最新データ早見表
ガス種別 | 月間平均使用量 | 月間平均料金* | 参考ソース |
---|---|---|---|
都市ガス | 5〜14 m³ | 2,600〜4,000 円 | SUUMO / KEPCO |
LPガス | 4〜7 m³ | 3,000〜6,000 円 | プロパンガス料金適正化協会 |
全世帯平均(参考) | 15.6 m³ | 3,600 円 | 環境省統計 |
2025 年 3 月時点の平均単価で試算。
SUUMO ,関西電力,環境省「家庭部門 CO₂ 排出実態統計調査」の年間 187 m³ を 12 で割った値。
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2.平均と比べるセルフチェック
① 検針票の 当月使用量 (m³) を確認
② 上表から自分に近い平均値を選択
③ 実使用量 ÷ 平均使用量
が 1.3 倍以上 → 使用量過多の可能性大
④ 実単価 ÷ 地域平均単価
が 1.2 倍以上 → 単価が高い可能性大
使用量が平均を超える主な5要因
1.季節変動
冬期は給湯温度を 42 ℃以上に設定しがちで、年間平均の 1.5〜2 倍 まで跳ね上がることもあります。
2.ガス種別の熱量差
LP ガスは都市ガスの約 2.2 倍の熱量を持つため、数値上の使用量は小さくても請求額は高めになりがちです。
3.住宅設備・築年数
旧式給湯器(エコジョーズ未満)は 燃焼効率 80 % 台、最新機種は 95 % 近く。機器世代差で実質使用量が変わります。
4.生活スタイル
浴槽を毎日満水 (約 180 L) で沸かすと月 +4〜6 m³、シャワー 15 分 × 30 日で +3〜4 m³ が目安です。
5.検針・機器トラブル
急増が続く場合は ガス漏れ・メーター誤作動・凍結破損 の可能性も。平均の2倍を超えたら点検を依頼しましょう。
3. 高い原因別ソリューション
1 季節要因なら設定温度 × 時間を最適化
40 ℃・シャワー 10 分に抑えるだけで 年間 5,000 円 以上削減可(都市ガス単価 180 円/m³ 想定)。
2 単価が高いなら “乗り換え or 交渉”
LP ガスは業者ごとに単価差が大きく、交渉次第で 1 m³ 当たり 100〜150 円 下げられる例も珍しくありません。
3 給湯器更新
15 年超の機器はエコジョーズへの交換で 年間 10 % 以上 の使用量減が見込めます。
自治体補助金も要チェック。
異常値が出たときの診断フロー
- 使用量急増の確認 ― 前月比 +50 % が目安。
- メーターの遮断表示を確認 ― 出ていれば復帰操作せず業者へ連絡。
- 機器の着火テスト ― 炎色・匂いをチェックし黄ばみや異臭があれば不完全燃焼を疑う。
- 調査依頼 ― 管理会社または供給会社に記録付きで報告。
3分でできる節約シミュレーション
シナリオ 都市ガス 8 m³ → LP ガス 6 m³
【都市ガス】1,650 円 + 8 m³ × 180 円 = 3,090 円
【LP ガス】1,650 円 + 6 m³ × 450 円 = 4,350 円
差額 = 1,260 円
LP ガスの方が使用量は少なくても請求額は高い――熱量差による “数字のトリック” の代表例です。
よくある質問(FAQ)
Q1 シャワー 10 分で何 m³?
給湯量 130 L、40 ℃設定なら加温分は約 33 % → 約 0.4 m³(都市ガス基準)。
Q2 「平均 5 m³」は本当?
都心ワンルームで浴槽を使わない 最少ベンチマーク。冬場や自炊ありなら 8〜12 m³ が現実的です。
Q3 LP ガスが高いので乗り換えたい
賃貸は貸主の承諾が必須。戸建てなら自由契約ですが、残存貸与金(給湯器などの無償貸与残額)がある場合は違約金に注意。
Q4 ガス自由化で単価は下がる?
都市ガスは電気とのセット割で 3〜6 % 下がる事例あり。LP ガスは自由料金だが価格交渉の余地が拡大中です。
まとめ ― 情報 → 診断 → 解決を1ページで
① 平均を把握し、② 自分の数値と比べ、③ 原因別に対策を講じる――この3ステップが “ガス代高い問題” を解決する近道です。
セルフチェックと節約術を試して改善しない場合は、単価交渉やガス会社乗り換えを検討してみてください。