プロパンガス

都市ガスの発熱量とは?種類・比較・CO₂排出量を算定する式まで紹介!

この記事では、都市ガスの発熱量や特徴を中心に、プロパンガス(LPガス)との比較やガス機器の使用上の注意点、CO₂排出係数などを分かりやすく解説します。

目次

  1. 都市ガスとは?
  2. 都市ガスの種類(12A・13Aなど)
  3. 都市ガスの発熱量
  4. 都市ガスの主な成分とCO₂排出係数
  5. プロパンガス(LPガス)との比較
  6. ガス機器を使用する際の注意点
  7. まとめ

都市ガスとは?

都市ガスは、主に天然ガスを原料とし、パイプライン(ガス管)を通して各家庭や事業所に供給されるガスです。日本国内では、次のような流れで供給されています。

  • **LNG(液化天然ガス)**を輸入する
  • 受入基地で気化してガス管に流す
  • 各地域のガス事業者による精製・加臭・圧力調整を経て、一般家庭や事業所に供給

都市ガスは、二酸化炭素排出量が比較的少ないクリーンなエネルギーとされ、世界的にも需要が高まっています。


都市ガスの種類(12A・13Aなど)

日本では、都市ガスには複数の種類が存在します。地域やガス事業者によって微妙に組成や熱量が異なるため、ガス種コードが設定されています。代表的なものには12A13Aがあり、多くの地域では13Aが主流です。

  • 12A
    主に関西の一部地域などで使用例がありましたが、現在はほとんどが13Aに移行。
  • 13A
    全国的にもっとも普及している都市ガスの種類。熱量が比較的高く安定している。

数字の意味
もともとの化学性状に由来する区分で、燃焼速度などを考慮して定められています。

アルファベットの意味
“A”は、家庭用ガス機器などで使用する空気比(ガスと空気の混合比)などの区分。
地域によってガス器具が微妙に異なるのは、このガス種コードに応じた燃焼仕様が違うためです。


都市ガスの発熱量

ガスの“発熱量”とは、燃焼時に放出されるエネルギーの大きさを指します。
都市ガスは1m³あたりで計算されることが多く、次のような値が標準とされています。

  • 13A都市ガスの標準熱量(例)
    1m³あたり 45MJ(メガジュール)
    (約10,700kcal)

実際には、ガス事業者や地域によって若干のばらつきがあります。東京ガスや大阪ガス、北海道ガスなどでも公表されており、おおむね40~46MJ/m³前後の範囲が一般的です。

発熱量が高いほど何が変わる?

都市ガス同士での差はそれほど大きくありませんが、発熱量が高いほど少ない体積のガスで同じ熱量を得られることを意味します。

ただし、料金は熱量だけで決まるわけではなく、地域や基本料金体系などによって異なる点に注意が必要です。


都市ガスの主な成分とCO₂排出係数

都市ガスの成分

都市ガスの主要成分は**メタン(CH₄)**で、ガス事業者の公式サイトなどでは、以下のような組成例が公表されています。

  • メタン(CH₄) 約90%
  • エタン・プロパンなど 数%
  • 不活性ガス(窒素、二酸化炭素 など) 数%

これらの混合比により、微妙に熱量や燃焼性状が変化します。

CO₂排出係数

都市ガスを燃焼した際に排出される二酸化炭素量を示す指標がCO₂排出係数です。省エネ法の定期報告書や環境報告などで必要になることがあり、ガス事業者が公表しています。

  • CO₂排出係数(例)
    約2.29 kg-CO₂/m³(0℃、1気圧換算)
    ※地域・ガス事業者によって若干の違いがあります。

ガス利用によるCO₂排出量を算定するときには、

CO₂排出量(kg-CO₂)=使用した都市ガス量(m³) × CO₂排出係数(kg-CO₂/m³)
といった式が用いられます。


プロパンガス(LPガス)との比較

都市ガスとプロパンガスはともに「ガス燃料」ですが、以下のような違いがあります。

項目都市ガス(13A)プロパンガス(LPガス)
発熱量約45MJ/m³約92MJ/m³(1m³あたり)
※プロパンガスは液化しボンベ供給
料金地域や契約プランにより変動事業者ごとに設定。
公共料金ではなく自由料金
供給方法ガス管を通じて供給各家庭・事業所にガスボンベを配送
導入コストガス管が敷設されていれば比較的安価ボンベの設置・配管工事費など
災害時の復旧ガス管が損傷すると復旧に時間がかかる個別供給のため、ボンベがあれば火力は確保しやすい場合も
  • 発熱量の違い
    プロパンガスは体積あたりの熱量が都市ガスよりも高いですが、1m³あたりの料金単価も異なるため、実際に「どちらが安いか」は地域や契約条件次第です。
  • 災害時の対応
    都市ガスはガス管が被害を受けると供給停止が広範囲に及びます。プロパンはボンベそのものがあれば使える一方、置き場所や耐久性にも注意が必要です。

ガス機器を使用する際の注意点

1. ガス種コードを確認する

ガス機器は対応するガスの種類(12A、13A、LPガスなど)が明確に決められています。ガス種が異なる機器を使うと燃焼不良や事故の原因になるため、必ず適合した機器を使用してください。

  • ガス種の確認方法
    • ガス機器本体のラベルや取扱説明書に「13A専用」「LPガス専用」「12A・13A兼用」などの表記あり
    • ガス会社のサイトや購入時のカタログを参照

2. 点火不良や異臭に注意

  • ガス漏れを疑う場合は元栓を閉めて速やかに換気し、ガス会社に連絡しましょう。
  • ガスコンロは定期的に掃除し、バーナー部分に汚れや詰まりがないようにすると安全かつ効率良く燃焼します。

3. 引っ越し時のガス開栓手続き

  • 引っ越しやリフォームなどでガス種が変わる地域に移動する場合、既存のガス機器が使用できるか事前に確認しましょう。
  • 必要に応じてバーナー部分の交換や買い替えが必要になる場合もあります。

まとめ

都市ガスは、クリーンで扱いやすいエネルギーとして広く普及しています。

発熱量は1m³あたり約45MJ程度(13Aの場合)が標準的ですが、地域やガス事業者によって若干の差があります。プロパンガス(LPガス)とは熱量や料金体系、供給方法などが大きく異なるため、比較・検討する際は単純な熱量だけでなく、料金設定やライフスタイル、災害時のリスクなどを総合的に見極めることが大切です。

また、ガス機器の適合性を誤ると燃焼不良や事故につながる可能性があります。必ずガス種に合った機器を使用し、安全に配慮しましょう。

CO₂排出係数に関しては、企業や施設などで省エネ法報告書を作成する際に重要になるので、ガス会社が公表している数値を参考にしてみてください。

都市ガスの利用を見直すポイント

  • 使用量や契約プランの確認
    新しい料金プランや自由化が進むことでお得になる場合もある
  • ガス機器の交換時期
    省エネ性が高い機器への交換でコスト削減やCO₂排出量の削減が可能
  • プロパンガスとの比較検討
    地域のインフラ状況や供給方法の違いを把握してから選択する

都市ガスに関する基礎知識を押さえて、安心・安全なガスライフをお送りください。
もし不明点や疑問があれば、各地域のガス事業者や専門家に相談するのがおすすめです。