これからマンションの購入や入居を検討している方へ。
もしその物件が「プロパンガス(LPガス)」を使用している場合、事前に知っておくべき大切なポイントがあります。
この記事では、特に「分譲マンション」の入居希望者向けに、プロパンガスに関する基本知識、契約の注意点、そして変更の可否について、わかりやすく解説していきます。
分譲マンションでLPガス会社は切り替えできるの?

結論 個人の判断では基本的に切り替えできません。

つまり、たとえ1部屋の入居者が不満を持っていても、全戸で同じ会社と契約しているため、切り替えには全住戸が関係する大規模な手続きが必要となります。
さらに、過去にガス会社が「設備費(給湯器・配管など)」を無料で提供していた場合、その見返りとして10年~15年の長期契約が結ばれているケースがあり、途中解約には高額な違約金や残存費用の精算が発生することもあります。
なぜプロパンガスが採用されるマンションがあるの?

以前までは、マンション建設時にガス配管や給湯器などの設備費を「ガス会社が無償で提供」し、オーナーやデベロッパーが初期費用を抑えることができるメリットがありました。
大人の事情ってやつですね…
その代わり、ガス料金に設備代を上乗せすることで回収する仕組みが広く使われていました。

つまり、オーナーにとってはコストが抑えられ、ガス会社にとっては長期収入が見込めるWin-Winの関係だったのです。

しかし、この仕組みは入居者には知らされないことが多く、高額なガス料金の原因となっていたため、現在は問題視されています。
現在の法制度はどうなっている?
このような背景を受けて、経済産業省は2024年7月にLPガス制度の見直しを実施しました。主な改正内容は以下の通りです。
- 設備無償貸与(ガス会社からの無償提供)の原則禁止
- ガス料金の事前提示の義務化(入居希望者への説明が必要)
- 貸与契約がある場合、その内容の明示と書面説明の義務
これにより、入居前にガス料金を知る権利が保護されるようになりました。
詳細は、経済産業省のWEBページに公開されています▼
「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」を施行しました
プロパンガスは高い?都市ガスと比べてどう?
一般的に、プロパンガスは都市ガスの1.8〜2倍の料金になることが多いです。
月額で数千円、年間では数万円の差が出るケースも。
ただし、地域やガス会社によって価格差は異なります。
中には適正な価格で供給している会社もあるため、物件ごとの料金確認が大切です。
どうしてもガス会社を変えたい!という場合は?
可能性はゼロではありません。
分譲マンションの場合、「管理組合」の合意を得ることで、ガス会社の変更は実現可能です。一般的には以下の流れとなります
- 住民総会で「ガス会社変更」を議題に挙げる
- 過半数以上の同意を得る
- 既存ガス会社と契約内容(設備貸与や残存費用など)を確認
- 新しいガス会社と見積もり交渉・切り替え
ただし、契約に残存費用があったり、法改正以前の契約が残っている場合、簡単には進まないケースもあります。
専門家や消費者団体への相談をおすすめします。
一般社団法人プロパンガス料金適正化協会
【結論】購入・入居前は、ガス契約と料金を必ず確認しよう
プロパンガス物件だからといって悪いとは限りません。しかし、次の点を確認しないまま購入・入居してしまうと、後悔するケースもあります。
- 現在のガス会社と契約内容(契約年数・貸与契約の有無)
- 月々のガス料金(基本料金・従量単価)
- 設備投資が反映された契約になっていないか
- 法改正の内容が適用されているか
本来、これらの説明は不動産会社に義務付けられていますが、制度が始まったばかりで運用が浸透しておらず、説明を省かれるケースもあります。
購入・入居を急ぐあまり、説明が不十分なまま契約してしまった――という事例も多数あります。焦らずに確認し、不明点は遠慮なく質問してください。
将来の後悔を防ぎ、安心して暮らせる住まい選びのために。ガス契約の確認は、物件選びの新常識です。